
牛乳と猫と、ちょっとした誤解の話。
「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするんですよ」そんな話をしたら、「うちの猫も一緒です」と返されたことがあります。妙なところで共感し合って、ちょっと笑ってしまいました。けれど後からこれについて調べてみると、単なる偶然ではありませんでした。
人間でも猫でも、牛乳に含まれる「乳糖(ラクトース)」がうまく分解できない体質というのは、実はごく自然なことの様です。
乳糖(ラクトース)とは
ラクトース(lactose)は、乳糖とも呼ばれる天然の糖で、主に哺乳類の乳(ミルク)に含まれています。以下は、ラクトースの含有量目安です。
| 食品 | ラクトース量(目安) |
|---|---|
| 牛乳(200ml) | 約9~10g |
| ヨーグルト | 約5~7g(菌により分解) |
| チーズ | 種類による(熟成チーズは少なめ) |
| 粉ミルク | 添加されていることが多い |
成猫は乳糖を分解するのが苦手
人間でいう「乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」、これは日本人にとても多く、7〜8割の人が該当すると言われています。症状としては、飲んだ後にお腹が張る、ゴロゴロする、ゆるくなる…など。かくいう私もその口です。
猫の場合はもっとはっきりしています。哺乳期を過ぎた成猫は、乳糖を分解する酵素「ラクターゼ」が激減します。つまり、牛乳を飲ませると、お腹を壊してしまうことが多いのです。

ただ、昔から「猫=ミルク」のイメージがありますよね?これについて調べてみると、ヨーロッパの農村文化から来ているという見解がありました。牛乳の余りを猫に与える風景、それがそのまま絵本やアニメに描かれ、「猫は牛乳が好きで、飲んでも平気なんだ」と印象付けられているとのこと。
たしかに、興味を示してペロペロ舐める猫はいます。でもそれと「体にいいかどうか」は別の話です。
今は「猫用ミルク」として、乳糖を除去した製品が市販されています。それなら安心して与えられますし、人間用にも「乳糖カット牛乳」がちゃんとある。技術は進んで、私たちは選ぶことができるようになったわけです。
「昔からそうしていたから」「猫が欲しがるから」そういう理由で続いてきた習慣が、少しずつ見直されていくことは、悪いことではありません。
小さな体の猫たちには、ちょっとした選択の違いが、大きな影響になります。自分にとっても、猫にとっても、「ちゃんと消化できるもの」を選ぶこと。それは、健康でいるための、ささやかな思いやりではないでしょうか。
あなたと猫の暮らしが、これからも穏やかでありますように。
